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パパ内科医の雑記

【専門医試験対策】内科学会雑誌 腎臓メモ

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パパは受験生なんです。
総合内科専門医対策。
内科学会雑誌の腎臓領域の選択肢問題です 。(全問題ではなくpick upしています)
いろいろな領域を並行しながら更新して行くつもりです。


更新履歴の記録↓
ver.1 2021/12/21 3題 

 

(2020年12月号)新時代に求められる臨床検査の理解と適正活用

腎機能検査

(2020年12月号)
腎機能評価に関して正しいものはどれか.
a) CcrはGFRより30%程度低値となる.
b) 腎排泄制薬剤投与時には,体表面積補正を外したeGFRcreatを指標にする.
c) eGFRの算出には,血清Cr値,年齢,性別ならびに体重が必要である.
d) サルコペニア等筋肉量の少ない例では,eGFRcreatは低めに推算される.
e) GFRの測定に使用されるイヌリンは,全身の有核細胞で産生される.

 
Cin(イヌリンクリアランス)
イヌリンは生体では合成されない物質で、糸球体濾過量測定に理想的とされている。
(e)の選択肢は誤り
シスタチンCは全身の有核細胞で産生される内因性の腎機能評価マーカー
 
Cr(クレアチニン)も糸球体で自由に濾過され再吸収されずに尿中に排泄されるため、
このクリアランス(Ccr)は腎機能評価に用いられる。
しかし、一部は尿細管からも分泌されているので、CcrはGFRを過大評価してしまう。
(a)の選択肢は逆。
 
日本人におけるCcrからGFRヘの補正は×0.715の補正を行う
日本人のeGFR算出式
eGFRcreat(ml/分/1.73m2)=194×s-Cr-1.094×(年齢)-0.287(女性は×0.739)
(酵素法で用いられたCrを用い、血清Cr値は小数点以下2桁表記を用いる)
この計算式に体重は含まれない。
 
この推算式は、体表面積1.73m2の標準的な体型(170cm, 63kg)に補正した場合の算出
75%の症例が実測GFR±30%の範囲に入る程度の正確度。
その範囲に入らない例も25%程度ある。
筋肉量が少ないサルコペニア例では高く推算され
反対に筋肉量が多い例では低く推算される、
ということを知っておく必要がある。
以上から(c),(d)誤り

※血清Cr値は最も簡便に利用できる腎機能のマーカー
Cr産生量は筋肉量に依存するため、個人差も存在し、また個人の日内変動も8%程度あるとも言われている
 
上記の通りで、eGFRは標準的な体型に補正した計算をしているため、
腎排泄性の薬剤投与を行う場合には、1.73の補正を外した推算が望ましい
eGFR(ml/分/1.73m2)÷1.73m2×BSA
 
 
血清Cys-Cについて
全身の有核細胞で一定の速度で産出・分泌され、
年齢、筋肉、食事ならびに運動による影響をほとんど受けずに、
GBMを自由に通過し、近位尿細管で99%以上再吸収され、異化される。
筋肉量による影響を受けないので、Cys-Cを用いた算出式が、四肢欠損、長期臥床、筋肉量が多い例には有用。
ただし注意も必要。筋肉量に依らないが、ステロイド、喫煙、肥満、甲状腺機能異常やCRP高値などの状況では影響が出る可能性が指摘されている。
また高度腎機能低下例では、4-5程度で頭打ちになるため注意が必要。
 

(b)

(2021年5月号)AKI(急性腎障害)update

 

AKIの鑑別

(2021年5月号)
AKIで尿細管組織障害を示唆する所見はどれか.2つ選べ.
a) 赤血球円柱多数(尿沈渣)
b) 顆粒円柱多数(尿沈渣)
c) 尿中ナトリウム濃度低下
d) 尿中尿素窒素排泄分画低下
e) 尿中好中球ゼラチナーゼ結合性リポカリン(NGAL)上昇

 
AKIにおいては、糸球体濾過量の低下から24〜48時間程度遅れて血清クレアチニン濃度が上昇することが認識されている。
早期にAKIを診断するには血清クレアチニン濃度に先行して変化する尿細管障害マーカーが有用でると考えられている。
AKIでは腎前性と腎性を鑑別する必要がある。腎性AKIの病態は急性尿細管障害(壊死)が多く、尿細管上皮障害を検出することで鑑別が容易となる。
尿中Na排泄分画(FENa)と尿中尿素窒素排泄分画(FEUN)は、
尿細管機能が維持されている場合、再吸収機構が維持されてるため、低い値が維持されるが、腎性AKIの場合は上昇する。
FE Na <1.0%   腎前性
   >1.0%  腎性
腎性はそのほかに 
尿浸透圧低下 350mOsm/l以下、
Na再吸収低下のため尿Na 40mEq/l以上、など。
(c),(d)は誤り
 
AKIマーカーについて
・NGAL   血液・尿
・L-FABP   尿
・その他 IL-18, KIM-1, TIMP-2 x IGFBP7 など これらはいずれも国内未承認
 
壊死脱落した上皮細胞による顆粒円柱も尿中に観察される。
赤血球円柱は糸球体腎炎等で見られる所見。
 

(b),(e)

 

造影剤腎症

(2021年5月号)
CKD患者における造影剤腎症(Contrast induced nephropathy:CIN)の予防について正しいのはどれか。2つ選べ。
a) 利尿薬の投与はCINの予防に有効である.
b) 適切な補液はCINの予防に有効である.
c) 造影剤使用後の血液透析はCINの予防に有効である.
d) 冠動脈造影の際に造影剤使用量を減量することはCINの予防に有効である.
e) N-アセチルシステイン投与は有効である.

CINのリスクファクター
高齢、CKD、脱水状態、うっ血性心不全、低血圧、腎毒性を有する薬剤の併用(NSAIDなど)
 
予防
CAGやPCIにおける経動脈的造影剤投与でCIN発症リスクが増加するため、使用量を最小限とすることが推奨されている。
経静脈的な投与に関しては、propensity score matchingなどの手法により解析した大規模研究でeGFR 30 ml/分/1.73m2以上のCKD患者では、CINの発症リスクとなる可能性は低いとの報告が増えてきている。
CINの予防には、生理食塩水などの等張性の輸液を造影剤投与の前後に経静脈的に投与することが推奨されている。
× 利尿剤の予防的投与はエビデンスはなく、むしろ脱水をきたした場合には腎機能が悪化する可能性がある
×   CIN発症予防を目的とした造影剤投与後の血液浄化療法で、CIN発症リスクはむしろ上昇する
×   活性酸素の関与が考えられており、抗酸化作用のあるN-アセチルシステインの有効性が検討されたが、現時点でエビデンスは十分ではない。
 

(b),(d)